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コンパクトカメラ



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女子高生達の写真に刺激を受けた僕は、フリーになる時買ったニコンF5とシステム一式を売っぱらった。

それまでの僕は、フラッグシップ2台と高級レンズを揃えなければ成り立たないと思っていた。

それでいてフツーにしか撮れない自分はサイテーにカッコ悪い。

写るんですを振り回してあんな過激な写真を撮る女子高生達は

サイコーにカッコイイという僕の独特の美学はここからスタートした。

結局GRというコンパクトカメラを2台買って現場に持って行った所、

ディレクターから「舐めてんのか?!」と言われ更に仕事は激減した。

でも妙に焦りはなく、「コレを今きっちりやらなければ俺の10年後は無い」と真剣に思っていた。

高級レンズの画質で形だけ整った写真を仕上げても、人との距離感や体温が伝わる写真は撮れない。

技術を反映する場が限りなくゼロに近いコンパクトカメラや写ルンですは、もろにそれが出る。

一番大切な事を、パリヴォーグのカメラマンさんと女子高生達に教えられた。

結果今、広告写真にもドキュメントの要素を入れアプローチするという自分のスタイルを

作り上げる事ができた。


勿論、現実は悲惨。。、

仕事は無い。やっと入った仕事もフィルムを買ったら都内まで往復する電車賃が無い。

町田から銀座まで歩いて行った事がある。

往復で15時間以上歩き撮影15分(笑)

しかもギャラ15000円、それが、翌々月末に入金される。

明日食えない事は何も解決しない。それでも行かない選択はない。

仕事は、細い糸を紡ぐようなものだ。

コレ1回を諦めたら、上京した事全部を諦めると思ったからだ。

20代に続いて僕の30代は全く冴えない、仕事ない、金がないがずっと続いた。


それでも能天気な僕は希望や、ワクワクの方がはるかに優っていた。



 
 
 

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