つまらない写真
- beatni2009
- 3月27日
- 読了時間: 3分
講座の受講者数が3000人を超えた。
僕のような者の話を、聞いてくれた方々にまずは感謝を述べたいと思います。
考えてみたら、長い間講師をやらせてもらっている。
僕は、プロの商業カメラマンだけど人に教えることは全然違う要素が必要で。。
最初はかなりテンパってスタートしたのを思い出す。
話したいこと、伝えたいことが多過ぎて時間内に収まらなかったり、様々なトラブルは
あったものの、スタッフやモデルに支えて貰いながらここまできたと思っている。
講座の内容もスタッフと検討し(時には言い合いをしながら)変化を遂げてきた。
今、改めて思うことを自分が忘れないようここに記しておきたいと思う。
よく生徒さんに言う言葉ではあるが、
大体写真講座の講師はプロカメラマンが多い。彼ら(僕も含めて)は必要な写真をいかなる条件下でも人の為に撮れる人である。
結果技術力もあり、上手い・綺麗な写真を撮れる人達だ。
受講生は、そんな写真を撮りたいと思い集まってくれる。
プロカメラマンの写真は綺麗で、整っている「上手い写真」だ。
僕が思うにそれは「1番つまらない写真」。
せっかく趣味で写真をやれるのに、そんなつまらない写真目指してどーするの?って思う。
もっともっと「いい写真」を目指すべき。
プロは、予算など条件の中、時間など制約の中で写真を撮り、最良の結果に対して、
最短で答えを提示していくのが仕事だ。
趣味の「撮りたい」という純粋な思いはプロ達の「表面上、上手い写真」を簡単に超えていくはずだ。
だから
プロである(あった)講師の話を鵜呑みにするべきではない。
あくまでそれは、その講師が思う事、経験した事の一端でありまったく全てでは無い。
結局アマチュアに教えることは、見かけ上のテクニックを伝えるのが精一杯のはずだ。
だから僕は最初の授業でそれを言うことにしている。
大切な根幹の技術は教えます、それは光を読み切る力をつける事、それを自分の写真のイメージに落とせるように、マニュアル露出で自在に瞬時にコントロールできるようになる事。
この二つのことが出来れば、教える事は何もありません。
うちの自然光の授業はこの二つだけ。
構図にうるさい方がいるけど、そんなものは覚えるものではない。
体に染み込ませるものだ。
アホみたいに寄って撮る!アホみたいに離れて撮る!
を繰り返していけば自然と自分の構図が生まれてくる。
構図は自分で創造していくもの。ひいては写真の常識は自分で作るものです。
プロカメラマンの構図は、それこそ絶対構図なんぞありえない。
文字が入る場所、トリミングの縦横比など制約の中で生まれるのが「その写真においての正しい構図」になる。
日の丸構図、何が悪い。
文字も文章もロゴも入らないなら、真ん中が1番強い。
うちは自分の常識に基づく写真を創造していく、きっかけの場所になりたいと思っている。
せっかくの趣味なんだから!
まさしく自でそれを実行している人がいる。
彼の写真は、どれも露出オーバー、ピントも合ってない、色もトーンジャンプ気味。
それでも、心に響く強烈な写真だ。見た後いつまでも残像が残る
写真展をやり、写真集を作り自由な発想で撮り続けている。
僕が思うアマチュア写真の象徴。
「こう撮るべき」なんて全く聞く耳持たず自分の世界を広げている
素晴らしい写真作家がいる。
「上手い写真」が正義だと思っている方、本当のポートレートはそこから生まれる事はありません。
真っ直ぐに被写体を見て、心が動いた時にカシャリとシャッターを切る。
自分もそうなりたいと、写真を仕事にして37年経った今でも毎日思っている。

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