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女子高生




前回のblogで書いたように、日航の面接に落ちた僕は仕事のない暇な日々を過ごしていた。

離婚して都立大学駅のワンルームマンションに住んでいたが、膨大に有り余る時間にただ、じっと埋もれて居る感覚だった。

どこか行くにも金がかかるし、ネットを見るのも今ほど一般的ではない。世はまだガラケーの時代。ネットに接続するという行為が特別な事と感じる時代だった。

引きこもりになるのもよくないので、たまに新宿の紀伊国屋書店に行った。一日中本を見て毎回思うのは「世の中こんなに写真が溢れているのに、何故俺に仕事が回ってこない!」

と絶望感いっぱいで帰って来る日々が続く。


ある日、その帰り道に写真展がやっていたので覗いてみた。

写ルンですで撮った女子高生達の写真展だった。

写ルンですやコンパクトカメラ

で撮影する女流写真家が多く出て来た頃だ。

ホントに暇つぶしでよっただけだが、中に入った時の衝撃は今でも忘れられない。

学校や家で友達同士が撮り合っているのだが、あまりにも生々しい女子高生の生態が写っていた。

教室の机の上に乗って踊る女の子

短いスカートはパンツ丸見え。

ストロボ炊くから真っ白にパンツは光っている。

あの年代の女の子達のエゲツなく

も美しい毎日が圧倒的な力で迫って来る。


「コレお前に撮れる?」

「この人との距離感は何だ?」

同時に先日面接してくれた方の言葉が頭をよぎる。

「何でも撮れるというのは何にも撮れないという事だよ。」

そうか。。。

僕じゃなければイケナイ理由がないんだ。

上手く撮れるけど、絶対この人に撮って欲しいという強烈な個性や特別感がない。

立派な機材で形だけ整え、ライティングで綺麗な写真を生み出す。

ただ、それだけの写真のなんと弱々しいことか。。。

彼の放った言葉の意味が女子高生達の写真を見てわかった気がする。。

僕はへたり込んでしまった。

この日の体験が自分の作風を作りあげた。


僕の人物撮影の原点は、名もなき女子高生達が教えてくれた。

 
 
 

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