怒り
- beatni2009
- 4月6日
- 読了時間: 2分

師匠について2年が過ぎた頃
そこは200人程社員の居る広告代理店だった。クリエイティブルームという部署に師匠と
もう1人のカメラマン、もう1人のアシスタントが居た。
要するに一応会社員。
ただ、この部署だけは独立国家のようだった。
時はバブル真っ只中。
今の人は想像出来ないだろうが、
毎年50人以上の新入社員が入ってきて、大学出たての営業マンがアルマーニのスーツを着て闊歩していた。
僕の部署は別のビル。
夕方フィルムのあがりを取りに行くのだが、本社の中はそれはそれは煌びやかで、
バブリーねーちゃんとアルマーニ野郎が大声でお疲れ様です!!と叫ぶ。
破れたジーパンにそこらじゅうガムテープやパーマセルテープを貼った汚い僕は
いつもそそくさと逃げ帰っていたのを思い出す。
そんな本社の営業に年が同じ、同期のアキラがいた。
不思議と彼とは気が合いたまに話をしていた。アシスタントもシンドイが営業もシンドイ。
あの頃のCMで(24時間闘えますか?)という精力剤の広告がある。バブル期はそんな気運が高まりまくっていた。
週末になると本社にクライアントが来る。接待だ。
アキラも当然同行する。
行くのは歌舞伎町の韓国の店。
気に入った女の子を連れ出して
一晩過ごせるシステムだ。
ある土砂降りの日。
アキラはクライアントと女の子に傘を差し自分は、ずぶ濡れのままホテルまで同行し、
入り口で深々とお辞儀をする。
その瞬間、プツンと何かが切れたのだろう。
翌日営業車を本社ビルの駐車場に入れる際、フルスロットルで突っ込みタワーパーキングをメチャクチャに破壊した。
その足で社長室に行き辞表を叩きつけた。
僕は苦笑いして「お前ビッグになるよ」。。
そして彼は若くして会社を立ち上げた。
怒りだよ。
ありとあらゆる理不尽に僕たちはいつも怒りを押し殺していた。
清く正しい感情は、か細い。
反対に負のパワーは前に進む最高の糧になる。
僕らの20代は怒りに満ち溢れていた。
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