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空(カラ)のフィルム




師匠は建築・インテリア写真の専門家で、物件広告などを日々撮影していた。

とある新築マンションのパンフレット撮影。

フィルムは全てエクタクロームというポジフィルム。

外観、リビングは4×5

各部屋はブローニー。

周りの公園や駅などの環境写真

は35mmカメラで撮影する。

初めて環境写真を撮ってこいと任された。

嬉しさのあまり舞い上がり、キャノンF1を抱えて無我夢中で撮影した。

走って、走ってギリギリに戻ってきた。

「撮ってきました!!」

フィルムを出すため巻き戻しレバーを回す。

軽い。。、、テンションがかからない。。、。

頭から足へ一気に血の気が引いていくのがわかる。

裏蓋を開けてみる。カラだ。

フィルムを入れずに撮っていた!

殴られるか?

と思ったら呆れた顔で言われた。

「もう一回撮って、帰り会社まで歩いて帰ってこい。」

そのまま車で行ってしまった。

そこは確か武蔵境、会社は新宿

はあ????


撮影をやり直し電車で新宿へ。

映画を2本見てゆっくり飯食って

夜の8時くらいに、ヘロヘロなふりをして帰社した。

「歩いて帰って来ましたあ!」


多分バレてた。

 
 
 

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